製紙業界におけるCMCの用途
カルボキシメチルセルロース(CMC)は、水溶性ポリマーとしての多様な特性から、製紙業界で広く使用されています。CMCは、植物細胞壁に含まれる天然ポリマーであるセルロースを化学修飾することで得られ、カルボキシメチル基を導入します。CMCは、紙の特性向上と製造プロセスの効率化のために、製紙の様々な段階で利用されています。製紙業界におけるCMCの主な用途をいくつかご紹介します。
- 表面のサイズ:
- CMCは製紙において表面サイズ剤として使用され、耐水性、印刷適性、インク受容性といった紙の表面特性を向上させます。CMCは紙表面に薄い膜を形成し、印刷品質の向上とインクの浸透抑制に貢献します。
- 内部サイズ:
- CMCは表面サイズ剤に加え、内部サイズ剤としても使用されます。水や印刷インクなどの液体の浸透に対する耐性を高め、紙の強度と耐久性の向上に貢献します。
- 保持および排水補助剤:
- CMCは製紙工程において、歩留まり向上剤および濾水促進剤として作用します。紙シート中の繊維やその他の添加剤の歩留まりを向上させ、地合と紙の強度向上につながります。また、CMCは濾水促進効果も発揮し、紙パルプから水分を除去する時間を短縮します。
- ウェットエンド添加剤:
- CMCは、製紙工程のウェットエンドに歩留まり向上剤および凝集剤として添加されます。抄紙スラリー中の繊維の流れと分布を制御し、抄紙機の効率を向上させます。
- パルプ粘度の制御:
- CMCは製紙工程においてパルプの粘度を制御するために使用されます。これにより、繊維と添加剤の均一な分散が確保され、シートの地合が向上し、紙の欠陥リスクが低減されます。
- 強度の向上:
- CMCの添加は、引張強度や破裂強度といった紙の強度特性の向上に貢献します。これは、耐久性と性能を向上させた紙の製造において特に重要です。
- コーティング添加剤:
- CMCは、コート紙のコーティング剤に添加剤として使用されます。コーティングのレオロジーと安定性に寄与し、コート紙の平滑性と印刷品質を向上させます。
- パルプpHの制御:
- CMCはパルプ懸濁液のpHを制御するために使用できます。適切なpHレベルを維持することは、様々な製紙用薬品の性能を最適化するために不可欠です。
- 形成とシートの均一性:
- CMCは紙シートの形態と均一性を向上させるのに役立ちます。繊維やその他の成分の分布を制御し、均一な特性を持つ紙を実現します。
- 充填剤および添加剤の保持補助剤:
- CMCは、紙の配合において、充填剤やその他の添加剤の保持力を高める役割を果たします。紙におけるこれらの物質の保持力を高め、印刷適性と紙全体の品質を向上させます。
- 環境上の利点:
- CMC は生分解性があり環境に優しい添加剤であり、持続可能な実践を重視する業界と一致しています。
まとめると、カルボキシメチルセルロース(CMC)は製紙業界において重要な役割を果たし、紙の特性向上、製造プロセスの効率化、そして紙製品全体の品質向上に貢献しています。表面サイズ剤、内部サイズ剤、歩留まり向上剤など、幅広い用途で使用され、製紙工程の様々な段階で貴重な添加剤となっています。
投稿日時: 2023年12月27日