二酸化チタンは何に使われるのか

二酸化チタンは何に使われるのか

二酸化チタン(TiO2)は、そのユニークな特性から、様々な業界で幅広く使用されている白色顔料であり、多用途の素材です。その用途の概要は以下のとおりです。

1. 塗料・コーティング剤の顔料:二酸化チタンは、優れた不透明性、明度、そして白色度により、塗料、コーティング剤、プラスチックにおいて最も一般的に使用される白色顔料の一つです。優れた隠蔽力を備え、鮮やかな色彩で高品質な仕上がりを実現します。TiO2は、内外装塗料、自動車用塗料、建築用塗料、工業用塗料に使用されています。

2. 日焼け止めにおける紫外線カット:化粧品およびパーソナルケア業界では、二酸化チタンは日焼け止めやスキンケア製品のUVフィルターとして使用されています。有害な紫外線(UV)を反射・散乱させることで、日焼けを防ぎ、皮膚がんや早期老化のリスクを軽減します。

3. 食品添加物:二酸化チタンは多くの国で食品添加物(E171)として認可されており、キャンディー、チューインガム、乳製品、菓子などの食品の漂白剤として使用されています。食品に鮮やかな白色を与え、見た目を美しくします。

4. 光触媒作用:二酸化チタンは光触媒特性を有し、光の存在下で特定の化学反応を促進することができます。この特性は、空気浄化、水質浄化、セルフクリーニング表面、抗菌コーティングなど、様々な環境用途に利用されています。光触媒TiO2コーティングは、紫外線照射によって有機汚染物質や有害な微生物を分解することができます。

5. 陶磁器の釉薬と顔料:陶磁器業界では、二酸化チタンは釉薬の不透明化剤および顔料として、セラミックタイル、食器、衛生陶器、装飾陶磁器などに使用されています。陶磁器製品に光沢と不透明性を与え、美観を高めるとともに、耐久性と耐薬品性を向上させます。

6. 紙と印刷インキ:二酸化チタンは、製紙工程において、紙の白色度、不透明度、印刷適性を向上させるための充填剤およびコーティング顔料として使用されます。また、印刷インキにもその不透明度と色彩強度を活かして使用され、鮮やかな色彩とシャープな画像を備えた高品質な印刷物の生産を可能にします。

7. プラスチックとゴム:プラスチックとゴム業界では、二酸化チタンは包装材、自動車部品、フィルム、繊維、ゴム製品など、様々な製品において、白色化剤、紫外線安定剤、補強充填剤として使用されています。プラスチックやゴム製品の機械的特性、耐候性、熱安定性を向上させます。

8. 触媒担体:二酸化チタンは、不均一触媒、光触媒、環境修復など、様々な化学プロセスにおいて触媒担体または触媒前駆体として使用されます。高い表面積、熱安定性、化学的不活性を有するため、有機合成、廃水処理、汚染制御などの触媒用途に適しています。

9. 電気・電子材料:二酸化チタンは、高い誘電率、圧電特性、半導体特性を有することから、電子セラミックス、誘電体、半導体の製造に使用されています。コンデンサ、バリスタ、センサー、太陽電池、電子部品などに使用されています。

まとめると、二酸化チタンは、塗料・コーティング、化粧品、食品、セラミック、紙、プラスチック、電子機器、環境工学など、幅広い分野で用途が広がる汎用性の高い素材です。不透明性、輝度、紫外線カット、光触媒作用、化学的不活性といった独自の特性の組み合わせにより、多くの消費財や産業製品に欠かせない存在となっています。


投稿日時: 2024年2月12日